msk's blog

日々の気付きを徒然なるままに記録していきます

Product Management

最近、スマホアプリに代表されるデジタルプロダクトのライフサイクル管理手法としてプロダクト管理(Product Management)という手法が注目されている。今日は、シリコンバレーでPMとして活躍され日本でもPMに関するプレゼンテーションを行われている曽根原春樹さんが、Udemyで公開している プロダクトマネジメント入門講座:作るなら最初から世界を目指せ!シリコンバレー流Product Management 研修を受講したので、エッセンスをまとめてみたい。

プロダクト管理活動の中心人物は、プロダクトマネージャー(Product Manager, PdM)と呼ばれる職種であり、デジタルプロダクトに関するライフサイクルに責任を持つ役割である。例えば、以下のような活動に責任を持つ:

  • 開発対象サービスの開発理由とビジネス貢献の定義:何故 (Why)、何を(What)、誰をターゲットに(To Whom)開発する必要があるかを定義する
  • いつどのようなサービスを提供・リリースするのかの定義:サービス展開のロードマップを定義する。ただし、ロードマップは常に見直し対象である。
  • デジタルプロダクトのアジャイル開発においては、プロダクトオーナー(Product Owner, PO)としての役割を担う。アジャイル開発における要件の優先順位を決定し、開発優先順位に関する意思決定を行う

PMという略語は、日本のIT業界ではプロジェクトマネージャー(Project Manager, PM)に対して使われるのが一般的である。曽根原さんによると、シリコンバレーでプロジェクトマネージャーは、PJMと呼ばれているらしいが、日本ではPMはProject Managerを意味することが多いので、Product Manager に対しては PdMが略称として利用されている。

デジタルプロダクトをメインのビジネスの糧としている企業(プロダクト企業)では、単一プロダクトを開発するために複数のプロジェクトが存在するため、プロダクトマネージャーは複数のプロジェクトマネージャーを管理する立場になっている。

Product Managerってビジネス(Business)、技術(Tecnologu)、デザイン(Design)の領域の積集合に位置するBTD人材である。この人材は、「イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き」(田川 欣哉著)では DesignとCreativityに置き換えて BTC人材と呼ばれているが実質的に同じものである。

PddMが必要になった理由、社会的背景として以下の3点があげられている。これは、アジャイル開発が必要とされている理由と酷似している:

  1. デジタルプロダクトが生活の一部になり(どこでも、いつでも、だれにでも)ビジネス規模が拡大の一途である
  2. マーケット・ビジネス環境、テクノロジーの変化の加速している。製品・サービスの開発において、外的環境の変化に追随する必要がある。
  3. 競争の激化。プロダクト一つで全世界にビジネス展開ができる、ということはグルーバルに数多くの競争相手がいるということになる。つまり、成功するために要求されるレベルが加速的に上昇している。

PdMの行動・思考はアジャイルマインドセットに従ったものになるべきである。また、ユーザ体験(User Experience, UX)最優先の製品サービスの開発が必要である。さもなければ、ユーザは全く振り向いてくれないであろう。作り手・提供元の視点での開発は厳禁である。

PdMが責任を持つこととして以下の記述がわかりやすい:

  • Why/Whatを定義する
  • How/Who/Whenを関係各所と決める
  • Doで常に状況を把握し意思決定する

PdMの成長ステージも「なるほど!」と思わせる定義でした。担当しているプロダクトのステージによって、必要とされるCapabilityも行動様式も異なってくる。

  1. Innovation PdM:プロダクトを生み出すPdM。ゼロから1への進化。
  2. Growth PdM:プロダクトがユーザに浸透し収益がつき始める。1から100への進化。
  3. Growth PdM & Town Builder PdM:プロダクトが指数関数的に拡散する。100から10の階乗への進化。

プロダクト管理・プロダクトマネージャーという用語は日本ではまだ浸透していないと思われるが、今後のビジネスにおいて必須の役割・スキルになってくるのは間違いないだろう。特に、顧客に対してビジネスを展開している・製品サービスを内製している企業においては、必須の人材になるだとう。当該人材の育成が急務である。